講演録「形あるものは必ず壊れる」 16
11 これから来る時代とは
現代社会には、いろいろと歪みが出てきています。具体的には所得格差です。これさは先程の身軽経営にも関係しますが、この先必ず政治課題にもなると思います。秋田県の平均所得(平成12年度で242万円)は全国平均(同310万円)の8割ぐらいです。東京都(同437万円)に比べると6割ぐらいです。更に、それなりの会社や役所に勤めているサラリーマンの場合と、農業所得をたくさん持っている人もいくらかいるかもしれませんが、いわゆる派遣社員、フリーターやパートの方の所得格差というのは、10対3ぐらいになっているのではないでしょうか。これは社会問題化すると思っています。
例えば、20代の方で、夫が月15~6万円ぐらい、妻が月10万円ぐらい。夫婦で月25~6万円ぐらいで生活していかなければならないのが普通になるのではないでしょうか。そして派遣社員だとその夫婦が30代になっても所得が伸びていかないでしょう。そういった低所得者層をどうするのか。これは県政でも考えるべき課題です。例えば、公営住宅などの住宅面での手当ても必要になってくるでしょうし、年金も一元化が必要ではないでしょうか。私は市長時代から、医療保険についても一元化を主張してきているのですが、本当にそういうことの検討が必要な時代になってきています。
それから安い交通手段。具体的にはバスでしょうか。アメリカなら一晩で500~1000kmを走る高速バス網がありますね。日本だって、秋田から東京まで5000円で行けるバスだって可能だと思います。先日、JR東日本の支社長さんに話したら「うちなら出来る」と言っていました。もっとも、地元のバス会社は「それをやられたらたまらん」と言っていましたが。しかし、諸外国では既にそういった所得層があり、現にそういった社会向けのシステムがある。海外から安いものを輸入したりして安く抑える一方で、お金のある人には高いものを買ってもらう。そういった時代になりつつある。安い生活が出来る社会システム、それが必要です。宿代だってそうですね。秋田駅の周りにも最近新しいビジネスホテルが増えましたが、あれも1泊6000円ぐらいでしょう。もっと下がるニーズも出て来るのではないですか。
《17に続く》
※名称・敬称等は当時(平成16年11月)のままです。
※次回は3月16日に公開いたします。