秋田よ、変われ。 寺田すけしろ

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  • 講演録「形あるものは必ず壊れる」 10

    2017.1.26

     環境~「水と緑の秋田」の回復

     それから、これからは環境が大事ですね。私は「水と緑の条例(秋田県ふるさとの森と川と海の保全及び創造に関する条例)」というものを作りました。これには私の個人的な考え方も若干入っていると思います。私は山登りが趣味なので、知事になってからも県内をよく登山して回っています。また、カナダのバンフ(世界遺産)などにも行って向こうの山も見て来ました。山に登りながら色々考えて「秋田県を50年かけて秋田の生態系に合った水と緑の県に戻そう」と決意しました。

     秋田は拡大造林政策に乗ってスギの植林をそれはそれは一生懸命にやったのです。当時はスギにとても価値があったからそれはそれで良かったと思います。昔の人のことを悪く言うつもりはありません。しかし、いまは緑は経済的な価値以外の、生態系の維持・回復という機能が重要で、自然保護の観点が見逃せなくなっている。これを抜きにしては行政も語れなくなっています。「21世紀は環境に対する償いの時代」という言葉がありますが、まさにそうであると感じます。この「50年」の根拠ですが、子どもが親のやったことの成果を見ることが出来るのがこのくらいの長さだからです。いま取り組めば、子や孫の世代がその成果を見てくれるでしょう。だから県民もイメージしやすいはずです。

     具体的に言いますと、秋田県はスギの人工造林を23万ヘクタールも推進していました。正直申しまして、これにより生態系を本当に壊しています。スギに合わないところまでスギを植えてしまっている。標高400~500メートルのところまでスギを植えています。しかし、青森側はきちんと純粋なブナ林です。この状態は、猿や鹿といった生き物への影響だけでなく、保水力など様々な面で生態系を乱しています。では、なぜ青森側は原生林が残ったのか。なぜだと思いますか? スギは植林できるけれど、ヒバは植林できないからだそうです。青森の木はヒバということですが、あまり植林に成功したことがないらしいです。自然に落ちた種子からしか育たないそうですね。元々あった生態系を傷つけてしまった秋田の反省として、ブナが良い所はブナ林に、混合林が良い所は混合林に、という形で生態系を回復したい。というのが「水と緑の条例」の趣旨です。

     それから森林県の知事として地球環境税についても触れさせてください。私は全国知事会では商工業と農業関係の委員会の委員長を拝命しています。しかし環境税については、完全に農業派と申しますか、産業界が反対している環境税について導入大賛成を唱えさせていただいています。ここはグローバルな視点を持つべきです。京都議定書の発効も控えています。国際公約を達成し、地球環境を守るために、豊かな森林を守る環境税の仕組みは必要だと考えています。

    《11に続く》


    ※名称・敬称等は当時(平成16年11月)のままです。
    ※次回は2月2日に公開いたします。

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